法定後見のご利用ガイド②ー申立て書類の準備ー

●はじめに

「父の法定後見申立てをすることになり、申立て書類の準備をしなければいけないのだけれどさっぱりやり方がわからない」

法定後見の申立てには様々な書類の作成が必要になります。

そして申立てや書類作成のために市役所や法務局から必要な書類を取得する必要があります。

今回は、申立て書類の準備の流れについて解説していきます。

●申立て書類の準備の流れ

申立て書類準備の流れは以下の通りです。

・申立てをする裁判所の管轄を確認する

・申立書類のフォーマットを取得する

・本人情報シートの作成を依頼する

・診断書の作成を依頼する

・市役所などで必要書類を取得する

・親族に同意書を記入してもらう

・各種申立て書類を作成する

・添付する書類を収集し、コピーをとる

●申立てをする管轄の裁判所を確認する

管轄の裁判所は、本人(後見によるサポートを受けようと思っている方)の住民票のある地域の家庭裁判所です。

●申立書類のフォーマットを取得する

それぞれの家庭裁判所によって準備する書類のフォーマットが異なることがあるので、インターネット上でダウンロードをするか郵送で請求をしましょう。
※家庭裁判所のホームページはこちら

●本人情報シートの作成を依頼する

本人情報シートは、主治医が診断書を書くときに参考にする大切な書類です。

日頃から本人に関わりがあり詳細な情報や様子を知っているケアマネジャーやケースワーカー等の福祉関係者の人に書いてもらうのが一般的です。

主治医には原本を提出し、コピーを家庭裁判所に提出します。

申立人の控えとしてもう一部コピーをしておくとよいでしょう。

●診断書の作成を依頼する

主治医に、診断書の作成をお願いします。

作成済の本人情報シートと診断書及び診断書の付票のフォーマットを渡しましょう。

精神科医や認知症専門医等でなくても、日頃から本人の状況を把握しているかかりつけの先生に書いてもらうことが一般的です。

●市役所などで必要書類を取得する

収集する書類は以下の通りです。

・本人の住民票(世帯全員・本籍・続柄記載のもの)

・本人の戸籍謄本

・申立人の戸籍謄本(本人との関係がわかるもの全て)

※申立人が本人と同じ戸籍の場合は不要です。

・後見人候補者の住民票

・登記されていないことの証明書

上記の書類は全て申立日を基準にして発行から3ヶ月以内のものに限られます。

本人の住民票や戸籍謄本を取得する際は、本人との関係がわかる申立人の戸籍謄本を持っていくとスムーズです。

登記されていないことの証明書は、法務局に請求します。支局や出張所では扱っておりませんので、必ず本局か東京であれば東京法務局の後見登録課に請求しましょう。この際も、本人との関係がわかる戸籍謄本を提示してください。

●親族に同意書を記入してもらう

基本的に申立人を除く推定相続人になる親族全員に作成してもらいます。

必ずしも作成する必要はありませんが、記入してもらうとその後の審理等がスムーズに進みます。

●各種申立て書類を作成する

申立て書類は以下の通りです。

・申立書(後見・保佐・補助開始申立書)

・申立事情説明書

・後見人等候補者事情説明書

・財産目録

・収支状況報告書(直近2ヶ月分)

・親族関係図

※保佐の場合は、代理行為目録。補助の場合は、代理行為目録及び同意行為目録を必要に応じて作成し提出します。

各書類について家庭裁判所のホームページ上で記載例を見ることができますので、それを参考に作成していきます。

後見人等事情説明書については、候補者がいない場合は作成不要です。候補者がいる場合に、金銭の貸借や保証人になっている場合、立替金があればそれがわかる資料を添付します。

財産目録については、次の資料を必要に応じて添付します。

預金通帳のコピー(表紙・見開き・直近2ヶ月分の残高が記されたページ)

保険証券のコピー(保険契約が記載された通知書でも可)

株式・投資信託などの資料のコピー(残高報告書や通知書)

不動産の全部事項証明書=登記簿謄本(発行から3ヶ月以内)

※固定資産税納税通知書から地番を特定し法務局に請求しましょう。納税通知書が見当たらない場合は、必要に応じて名寄せ帳や固定資産評価証明書を市役所に請求しましょう。

また、遺産分割未了の相続財産がある場合は、相続財産目録とそこに記載されている財産を証明する資料の提出も必要です。

収支予定表については次の資料を必要に応じ添付します。

収入に関する資料のコピー→年金通知書や株式配当金の通知書等

支出に関する資料のコピー→納税通知書や住居費の領収書、施設や病院の領収書、介護保険料納付書等

●添付する書類を収集しコピーをとる

上記に挙げた書類を必要に応じて収集しコピーを取ります。

コピーの取り方にも裁判所からの指示がありますので、家庭裁判所のホームページ上で確認しておきましょう。

●まとめ

・申立てをする管轄の裁判所を確認する

・申立書類のフォーマットを取得する

・本人情報シートの作成を福祉関係者に依頼する

・診断書を主治医に依頼する

・市役所等で必要書類を取得する

・親族に同意書を書いてもらう

・各種申立書類を作成する

・添付する書類を収集しコピーをとる