今日はちょっと小難しい話をします。

行政行為には、

①法律的行政行為

②準法律的行政行為

があります。

さらに法律的行政行為には

①命令的行為

②形成的行為

があります。

今日はこれらの違いを吟味したいのではありません。

今日味わっておきたいのは、命令的行為の中の「許可」と形成的行為の中の「認可」と「特許」の違いについてです。

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や申請の代行というのが、主な生業の一つです。

この官公署に提出する書類の中には、事業を始めるにあたって行政から許可を得なければいけない時に、行政に申請するための書類作成が含まれています。

例えば、建設業許可や風俗営業許可などですね。

さて、行政に「許可」をもらわなければいけない手続きなのか、「認可」や「特許」を得る手続きなのかでは意味合いが異なります。

それぞれの性質を見ていきましょう。

まずは「許可」です。

もともと人間であれば自由に営業してもよい権利を有しているのだけれど、公益上の理由から行政により禁止されている行為に対して、その禁止を解いて適法に行えるようにすることです。

もともとできたものが行政に禁止されているので、その禁止を解くために行政にお願いする、というややこしい感じ。とても味わい深いと思います。

行政によって禁止されている行為ですので、許可を得ずに行うと処罰される恐れがあります。

ただし、許可を得ずに行った行為であってもその効果は有効です。

例えば食肉を販売する場合、許可が必要ですが、許可を得ずに販売しても、処罰される恐れがありますが、販売したその行為そのものは法律上有効に成立するのです。

それでは「認可」はどうでしょう。

行政の同意によって法律上の効力を完成させることです。

「許可」が必要な行為とは違って、禁止されているわけではないので、基本的に処罰の対象にはならないものの、法律行為として成立しないので、その取引は無効になってしまうのです。

いよいよ最後の「特許」です。

これは、特定のものに対して、誰もが本来有していない権利を新たに与えることです。

「許可」が必要な行為は、もともと許されているのに行政に禁止されている行為でしたが、こちらは、元々有していない権利を特定の人に与えることに違いがあります。

「許可」の具体例は、先述した風営業許可の他にも、運転免許や医師免許があります。「免許」という言葉ですが、許可に分類されるのですね。

もっとややこしいこともあります。

法文上は「許可」なのに、「認可」に分類される行為があるのです。

例えば、農地を耕作目的で売買や贈与により所有権を移転したりする時は許可が必要になるのですが、この「許可」は農地法上の条文では「許可」なのですが、その性質は「認可」なのです。

味わい深いですよね。

「特許」の具体例は「帰化」です。もともと日本国民になる権利が与えられていないところ、特定の人に新たに日本国民となる権利を与えるということですね。これはなんとなくしっくりくる例なのではないでしょうか。