法定後見のご利用ガイド⑤ー後見人選任後の流れー
●はじめに
「審判が確定し、私が後見人に選任されました。何から始めれば良いですか」
今回は、後見人に選任されたときのはじめに行うことについて解説していきます。
●後見人選任後の流れ
後見人選任後の流れは以下の通りです。
・初回報告
・各関係機関への手続き
●初回報告
後見人に選任された者は、家庭裁判所に対して、被後見人の財産の状況について報告しなければなりません。
まず、本人の資産を把握し財産目録を作成します。
申立書類の作成時にも財産目録を作成したのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、親族による資産の調査で金融機関などが本人の資産を開示してくれることはほとんどありません。
登記が完了すれば、後見登記事項証明書を法務局に対して請求することができます。
それを金融機関に持参し、後見人として資産の照会をします。
そうして開示された資産の情報をもとに、より正確な財産目録を作成するわけです。
次に収支予定を立てて、年間収支予定表を作成します。
医療費や施設費、年金や税金などの決まった支出や収入を計上して年間の予定を立てましょう。
最後に、作成した財産目録と年間収支予定表を家庭裁判所に提出します。
初回報告の期限については、家庭裁判所から指示があります。
大体選任されてから2ヶ月以内です。
もし間に合わない場合は、提出期限内に家庭裁判所に間に合わない旨を連絡しなければいけません。
例えば東京家庭裁判所の場合、「連絡票」を用いて連絡を行います。
また、家庭裁判所に提出する書類は、コピーをとって一部を保存しておくことをおすすめします。
●各関係機関への手続き
次に、市役所や金融機関などに後見人に就任したことについて届出を行います。
まず、事前に窓口に電話をかけ、成年後見に関する届出を行いたい旨を伝え、必要書類を確認しておきます。
各窓口によって必要な持ち物は違ってきますが、主な持ち物は以下の通りです。
・後見登記事項証明書
・後見人個人の実印
・後見人個人の印鑑証明書
・後見人個人の身分証明書
・届出用の印鑑
後見登記事項証明書や後見人個人の印鑑証明書は発行後3ヶ月以内のものを要求されることが多いので注意します。
主な届出先は次の通りです。
・市区町村役場:高齢福祉課、介護保険科、年金科、税務課
重要な郵便物の送付先に後見人を登録しておきます。
・金融機関:銀行、証券会社
後見人が就任した旨の届出と届出印の登録をします。
・年金事務所
年金の受給者を「成年後見人〇〇〇〇成年後見人□□□□」と登録して、郵便物の送付先を後見人にしておきます。
その他:必要に応じて施設・入院先・税務署
●まとめ
・後見人に選任されたら、法務局で登記事項証明書を取得する。
・それを用いて被後見人の資産の照会を行い、財産目録や収支予定表を作成して家庭裁判所に初回報告を行う。
・初回報告を行ったら、市役所や金融機関に成年後見に関する届出を行う。