任意後見のご利用ガイド③ー任意後見監督人選任の申立てー

●はじめに

「任意後見契約は元気なうちに事前に結んでおくものと聞いたけれど、後見人のサポートはどのような手続きで開始されるの?」

任意後見契約は、任意後見監督人選任の申立てにより裁判所が監督人を選任した時点で発効し、後見人のサポートが始まります。

今回は、任意後見監督人選任の申立ての概要について解説していきます。

●申立ての流れ

任意後見監督人選任の申立ての流れは、以下の通りです。

・申立準備

・申立て

・審査

・審判

ご覧になってわかる通り法定後見の申立てとほぼ同じです。

※法定後見の申立てについてはこちらをご参照ください。

違いは、法定後見の場合、申立て時に家庭裁判に面接予約をして申請書類を郵送し、予約日当日に裁判所に出向き面談を行うというプロセスを踏みましたが、任意後見監督人選任の申立ての場合、基本的に申請書類の提出は郵送で行い、その後、審理の過程に移ります。

●申立書類

・任意後見監督人選任申立書

・申立事情説明書

・親族関係図

・財産目録及び添付資料

・収支予定表及び添付資料

・任意後見受任者事情説明書

・診断書

・診断書付票

・本人情報シートのコピー

親族の意見書が無い、申立書や申立事情説明書等が任意後見用であるという違いがありますが、申立書類に関しても法定後見の申立てで準備する書類とほぼ変わりがありません。

※法定後見申立書類の準備についてはこちらの記事を参照してください。

●必要書類

・本人の戸籍抄本

・本人の住民票または戸籍の附票 ※マイナンバー記載のないもの

・任意後見受任者の住民票または戸籍の附票

・登記事項証明書

・登記されていないことの証明書

・任意後見契約公正証書のコピー

任意後見契約公正証書のコピー以外の書類は発行から3ヶ月以内のものを準備してください。

登記されていないことの証明書の証明事項が後見・保佐・補助を受けていないことであること以外、ここに関しても法定後見の申立てに必要な書類とほぼ変わりがありません。

●期間

申立てから審判・登記確定まで1ヶ月半〜2ヶ月は見ておく必要があります。鑑定を行う必要があるなど、ケースによってはこれ以上の期間がかかることもあります。

●費用

以下、項目別の費用をリストアップしておきます。

◇申立費用

・申立手数料:800円

・登記手数料:1400円

※保佐・補助で代理権や同意見の付与の申立てもする場合は、それぞれ800円を追加

◇郵便切手(予納郵券代)

・後見:3270円

◇鑑定費用 ※裁判所が必要があると判断すれば

・大体5〜10万円

◇診断書作成費用

・数千円程度

※医療機関によって異なりますが、大体の相場になります。

◇必要書類の取得費用

・本人

住民票:300円程度

戸籍抄本:450円程度

・任意後見受任者

住民票:300円程度

・登記事項証明書:550円

・登記されていないことの証明書:300円

・財産を示す書類代:登記簿謄本や固定資産評価証明書等

※裁判所によって求められる書類が異なります。

◇その他

・書類取得のための郵便代

・申立てを専門家に代行してもらう場合は専門家に支払う手数料

●まとめ

・申立ての手続きについては、一部を除いて法定後見とほぼ変わりがない。

・申立ては面接予約をして家庭裁判に行くのではなく、基本的に郵送で提出する。

・申立書類や必要書類も細かいところを除いて法定後見の申立てとほとんど変わりがない

・期間は最低でも1ヶ月半〜2ヶ月はみておく。

・費用は大体最低でも15000円ほどはみておく。