法定後見のご利用ガイド④ー審理・審判・登記ー
●はじめに
「調査官との面接も終わり申立てが完了した。審理が始まるらしいけれどただ連絡を待っていれば良いの?」
申立てが受理されると審理が始まりますが、申立人はただ待機していれば良いのでしょうか。
今回は審理の過程について解説していきます。
●審理の流れ
審理では必要に応じて以下の手続きが行われます。
・本人についての調査
・親族の方への意向照会
・鑑定
●本人についての調査
申立てされた内容について本人に直接会って意見を聞きます。
本人が裁判所に出向くことが難しい場合は、訪問による調査になります。
補助や保佐の申立てにおける同意権や代理権の付与は本人の同意が必要なので、調査の際に同意確認も行われることになります。
●親族への意向照会
親族に対して、主に書面により、申立てされた内容を通知し、意向確認が行われます。
●鑑定
本人の判断能力を判定するために必要な時は鑑定が行われます。
鑑定が行われる割合はおよそ1割です。
鑑定が行われると別途大体5〜10万円くらいの費用がかかります。
●審判と登記の流れ
審判と登記の流れは以下の通りです。
・後見等開始の審判
・審判書謄本の郵送
・登記
・登記番号の通知
●後見等開始の審判
審理の過程が終わるといよいよ審判がおります。
要件を満たしいれば、補助・保佐・後見どれかの開始の審判がなされ、後見人や必要に応じて後見監督人が選任されます。
補助・保佐の開始においては、必要な同意権や代理権もここで定められます。
また、後見制度支援信託や後見制度支援預金が推奨される場合もあります。
●審判書謄本の郵送
本人や申立人、後見人等に選任された方に審判書謄本が郵送されます。
審判書謄本が届いてから2週間以内に不服申立てがなされない場合、審判が確定します。
不服申立ては申立人や利害関係人が手続きすることができます。
誰を成年後見人等に選任するかについての不服申立てはできません。
●登記
審判が確定すると、家庭裁判所から法務局に審判内容の登記が依頼されます。
登記に要する期間は、大体2週間程度です。
登記が完了すると、裁判所から成年後見人等に登記番号が通知されます。
●まとめ
・審理の過程では、必要に応じて本人の調査や親族の意向照会、鑑定が行われる
・審判が下りると2週間の不服申立て期間がある
・不服申立ては後見人等の選任についてはできない
・審判が確定すると登記がなされる。