法定後見のご利用ガイド⑧ー報酬付与の申立ー

●はじめに

後見人の報酬は、後見人が都度家庭裁判に報酬付与の申立てをすることで支払われます。つまり後払いです。報酬付与の申立ては基本的に1年に1回が多いので、定期報告のタイミングで一緒に申立てをしてしまうと効率的です。

毎年ではなく、2年に1回請求したり、後見終了時に就任していた全期間の報酬を請求したりすることもできますが、後見人の報酬は雑所得として確定申告の対象となりますので、1度に大きな報酬を受けて税務の面でデメリットが生ずる場合は、毎年定期的に報酬付与の申立てをすることをおすすめします。

●報酬付与申立の流れ

報酬付与申立の流れは以下の通りです。

・必要書類を作成する

・必要書類を家庭裁判所に提出する

・家庭裁判が内容を審査する

・報酬が認められると、報酬付与決定書が送付される

・本人の財産から審判で決定した報酬を受領する

報酬付与決定書は申立てを裁判所が受理してから大体2週間程度で送付されます。

●報酬付与申立に必要な書類

報酬付与の申立に必要な書類は以下の通りです。

・報酬付与の申立書

・報酬付与申立事情説明書

・後見事務報告書

・財産目録

・収支報告書

・添付書類:預金通帳のコピーや領収書等

・収入印紙800円分

・郵便切手84円切手

定期報告済の期間の報酬を請求する場合は、上記の中の定期報告書類は必要ありません。

先述したように、定期報告も1年に1回ですので、定期報告と一緒に報酬付与の申立てをして書類も一度に提出してしまうと効率的です。

収入印紙は申立てにかかる手数料です。

郵便切手は返信用の通信費です。

●報酬付与申立事情説明書について

報酬付与申立説明書には、申立時点における預貯金や金融資産の額や申立期間中における収支を記載しますが、その他に付加報酬を認めてもらいたい場合にその仕事内容について記入します。

付加報酬とは、後見人に支払われる毎月の基本報酬以外に、後見人が臨時に仕事をした際に認められる報酬です。

主に、不動産の売却や賃貸管理、遺産分割、訴訟手続きに認められますが、身上看護等で手間ヒマがかかる仕事をおこなった際にもその他の行為として認められる場合があるので、仕事内容について詳細に記入しておくと良いでしょう。

●まとめ

・後見人の報酬は後払いである

・定期的(毎年1回など)にあるいは後見終了時にそれまでの全期間に対する報酬付与の申立てを家庭裁判に対して行う

・毎年1回の定期報告と同時に行うと効率的である。

・基本報酬の他に付加報酬を認めてもらいたい場合は、報酬付与申立事情説明書に記載する・

・申立てからおよそ2週間ほどで報酬付与通知書が送付される

・通知書が送付されたら本人の財産から報酬を受領する