相続時の相続人調査

●はじめに

被相続人がお亡くなりになった後、遺言書が残されていない場合、遺産分割協議が必要になります。

遺産分割協議が成立するには相続人全員の同意が必要です。

そのため、相続が開始された際は、相続人を確定するための調査が必要になります。

今回は、相続開始時に行う相続人の調査について解説していきます。

●どのような書類を集めるのか

相続人の調査においては次の3つの書類を市役所に請求します。

・遺言者の出生から現在までの戸籍謄本・除籍謄本・改製現戸籍

・相続人の戸籍謄本

・相続人の戸籍の付票または住民票

遺言者の出生から現在までの戸籍謄本を集めるのは場合によっては大変な手間がかかります。戸籍謄本は、本籍地で保管されているため、結婚や引越しで本籍地が変われば、複数の戸籍謄本を遡って各戸籍謄本を保管している各市役所に請求をしなければならないからです。また、戸籍は明治・大正・昭和・平成と、改製の度に書式が変化してきております。特に昔の戸籍を読解することは煩わしく、必要事項を見逃してしまうと戸籍の収集に漏れが生じてしまうことにもなりかねません。

●相続関係説明図

相続関係説明図とは、推定相続人の調査で収集した書類に基づいて、相続人が何人いてそれぞれどのような続柄か、相続関係をわかりやすいように一覧図にしたものです。

※出典:法務局ホームページより

     主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例を加工した

上図は法務局のホームページの記載例に私が少し手を加えて整えた相続関係説明図の見本です。相続関係説明図に関する制度で、2017年5月29日から運用が開始された相続情報証明制度というものがありますが、また別の記事で解説します。

ちなみに、相続手続きの際に、相続関係説明図を添付すると、提出した戸籍謄本の原本を返してもらうことができます。

相続手続きでは、不動産会社の名義変更や銀行口座の名義変更・解約等の手続きなど各場面で度々被相続人や相続人の戸籍謄本が必要になりますので、その都度戸籍謄本を集めるのではなく、提出した戸籍謄本を返してもらい、また別の手続きでも利用する方が時間もお金もかからずに済むのです。

そのような利便性があるので、ほとんどの場合で相続関係説明図を作成することになります。

●まとめ

・遺産分割協議のために、相続人の調査が必要になる。

・相続人調査では、【遺言者の出生から現在までの戸籍謄本】と【推定相続人の戸籍謄本】【推定相続人の戸籍の付票または住民票】を収集する

・収集した書類を元に相続関係説明図を作成する