遺産分割の方法

●はじめに

「不動産を公平に分割するにはどうしたらよいか」

相続財産が全て現金であれば、金額を平等に分配すれば公平性な分割をすることができますが、不動産のように容易に分けられない遺産がある場合、一方には高額な評価額の不動産、もう一方には少額の預貯金というふうに、公平性が損なわれる恐れがあります。相続人全員がそれで同意していれば気にする必要はありませんが、遺留分の侵害として、相続手続きが滞るリスクもあるでしょう。

そこで、今回は、遺産分割の4つの方法について、そのメリットとデメリットを解説していきたいと思います。

●遺産分割の方法

遺産分割の方法には次の4つがあります。

・現物分割

・換価分割

・代償分割

・共有

それぞれのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

●現物分割

1つ1つの遺産を現物そのままに配分する方法です。

Aには土地を、Bには居宅を、Cには預貯金を、という感じですね。

遺産が土地の場合であれば、分筆して分割することもできます。

メリット

・遺産をそのままの形で残すことができる

・分かりやすく分配できる

・遺産の評価が不要なので、手続きが簡単である

デメリット

・それぞれの遺産の価値に差異が大きいと、平等に分配することができない

●換価分割

不動産や株式等の遺産を売却して現金した後に分配する方法です。

メリット

・平等に分配することができる

・不動産等の維持管理を行わなくてよくなる

デメリット

・遺産をそのままの形で残すことができない

・売却をするときに、処分のための費用や税金がかかる

●代償分割

現物を特定のものが取得する代わりに、取得者がその他の相続人に対し、その相続分に応じた金銭を支払う方法です。

メリット

・遺産をそのままの形で残すことができる

・平等に分配することができる

デメリット

・現物の取得者に支払い能力がない場合、代償金が支払われないリスクがある

・不動産の評価方法に関して相続人間で合意が得られない恐れがある

●共有

1つのものを複数の相続人で、それぞれの相続分に応じて共同で所有する方法です。

メリット

・遺産をそのままの形で残すことができる

・平等に分配することができる

デメリット

・共有物を処分したい時に、共有者全員の合意が必要になる

・共有者の誰かがなくなり相続が発生する度に、共有者が増えていき権利関係が複雑になる

●代償分割と共有はリスクが伴う

それぞれの方法にメリット・デメリットがありますが、とりわけ代償分割と共有にはリスクが伴います。

代償分割の場合は、代償金の未払いのリスクがあるので、代償金の支払いは、遺産分割協議の成立時に行うなど工夫が必要です。それが難しい場合は、支払期日を遺産分割協議書に明記しておきましょう。

共有は、遺産に対する自由度が低くなります。さらに将来相続の度に共有者が増えていき権利関係が複雑になると、それに伴ってその後の相続の協議も困難になっていくことから、なるべく避けた方がよい方法でしょう。

●まとめ

・遺産分割には4つの方法がある

・4つの方法とは、現物分割、換価分割、代償分割、共有である

・代償分割と共有にはとりわけリスクが伴うので避けるのが得策である。