原本と正本と謄本

Q.「公正証書遺言の作成の際に出てくる原本と正本と謄本の違いってなに?」

A. 原本はオリジナル。正本と謄本はコピーです。

公正証書遺言の記事の中で、作成された遺言書の原本は公証役場が保管してくれるという解説をしましたよね。

その他に、公正証書の作成では、「正本」(”せいほん”と読みます)と「謄本」を発行してもらうことができます。

それでは、公正証書遺言の作成において、原本と正本と謄本の違いは何でしょうか?また、どのように活用するのでしょうか。

●原本とは

「原本」とは、この世に1つしかないオリジナルの書面のことです。

ちなみに公正証書の保管期間は、20年とされています。ただし「特別な事由で保存の必要がある場合」(『公証人法施行規則』27条)はそれ以上保管されます。

これにより、多くの公証役場では公正証書遺言の場合、遺言者が生まれてから120年までは保管をしているようです。

ちなみに、現在世界最高齢としてギネスに認定されているのは、田中力子さんという日本人女性で119歳です。※詳しくはこちら

●正本とは

「正本」とは、原本と同じ法的効力を持つ原本の「写し」のことです。遺言者がお亡くなりになった後に、原本は公証役場に保管されているので、「正本」を使って預貯金の払戻しや不動産移転登記等の相続手続きを行います。

なので、遺産を多く譲り受ける相続人や遺言執行者に正本を預けておくとよいでしょう。

●謄本とは

「謄本」とは、正本と同じく原本の写しになります。ただし、謄本には原本と同じ法的効力がありません。金融機関や法務局で相続の手続きをしようとしても謄本では受け付けてもらえないのです。

ただ、「謄本」があると、遺言書が存在することを知ることができますし、遺言を執行するものが遺言書通りに執行しているか確認することができます。

遺言者本人が保管しておくか、遺言執行者以外の方に渡しておくのが良いでしょう。

●発行手数料

正本や謄本の枚数1枚につき250円

●まとめ

・公正証書遺言を作成すると、原本は公証役場に保管され、正本と謄本を発行することができる。

・原本はこの世に1つしかないオリジナルの書面である。

・正本は原本と同じ効力を持つコピーである。

・謄本は原本と同じ効力を持たないコピーである。

・発行手数料は正本・謄本の枚数1枚当たり250円である。