相続人の範囲②ー応用編ー

●はじめに

「内縁の妻や事実婚のパートナーは相続人になれるのだろうか」

「産まれてくる前のお腹の中にいる赤ちゃんは相続人になるのだろうか」

「子どもが親より先に死亡してる場合は?」

前回の記事で基本的な相続人の範囲と順位を見てきました。今回はそれを使って上記のような疑問に対して解説していきたいと思います。

●内縁・事実婚のパートナー

内縁とは、婚姻届を出していないけれども、実際に夫婦生活を営んでいる関係のことです。事実婚という言葉は、とくに当事者の意図的な選択により婚姻届を出していない場合に用いられることがあります。

内縁も事実婚もそのパートナーは相続人になることができません。

ただし、他に相続人が全くいない場合には、特別縁故者として、財産分与が受けられる場合があります。

●出生前の胎児

まだお腹の中にいる赤ちゃんも既に生まれたものとみなされて、相続人になりえます。ただし、死産をした場合は、はじめから相続人とならなかったものとしてあつかわれます。

といってもまだお腹の中にいるわけですから、実際に遺産分割が受けられるわけではありません。なので、親族や専門職等が代理人となって話し合いに参加するか、実際に産まれてくるまで遺産分割を引き伸ばすという対応がなされます。

●子どもが親より先に死亡している場合

前回の記事で説明したように、子どもは第一順位の相続人でしたよね。ただ先に死亡してしまっていては相続人になることができません。この場合は、その子どもの子ども(つまり被相続人にとっての孫)が相続人になります。これを代襲相続といいます。そして孫が死亡している場合は、その孫の子どもが相続人になるわけです。これを再代襲といいます。再代襲は無限に続きますが、例外があります。

兄弟姉妹が相続人となるケースでその兄弟姉妹が先に死亡していた場合、その兄弟姉妹の子どもが代襲相続できますが、この場合はその一回限りで再代襲できません。なんだかややこしいですよね。

ここで応用問題です。相続人が子ども3人だけのケースで、そのうちの1人が先に死亡している時、その1人に子ども(つまり被相続人にとっての孫)がいる場合は、誰が相続人になれるでしょうか。答えはまだ生きている子ども2人と孫が相続人になるわけです。

ちなみに代襲相続は養子の子どもにも起こりますが、その子どもが養子縁組前に生まれた子どもの場合は、代襲相続は発生しません。理屈としては、まだ被相続人と養子に親子関係がない時に生まれた子どもだからですね。

●まとめ

・内縁や事実婚のパートナーは相続人にならないが、特別縁故者として財産分与を受けられる場合がある。

・胎児は既に生まれたものとみなされ、相続人となる

・先に子どもが死亡していた場合、その子どもの子どもが相続人となる。これを代襲相続という。