遺言書保管制度ご利用ガイド②ー利用方法(遺言者編)ー

●はじめに

「遺言書保管所で遺言書を保管してくれるようだけれど実際どのように手続きをすればいいかわからない」

「遺言書をどのような用紙に書いてどのような形で出せばいいのか教えてほしい」

今回はこのような疑問に答えていけたらと思います。

●手続きの流れ

それでは保管申請の具体的な流れを見ていきましょう。

①遺言書を作成する

②遺言書保管所を決める

③保管申請書を作成する

④添付書類を準備する

⑤保管申請の予約をとる

⑥遺言書保管所に行き、保管申請をする

⑦申請が完了したら、保管証を受け取る

この前の記事でも説明した通り、遺言書保管制度で保管できる遺言書は自筆証書遺言に限られます。その他様式が決められていますので後述します。なお、遺言書保管制度では遺言の内容については相談に乗れないので、必要に応じて専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

保管申請ができる管轄の遺言保管所を検索しどこに申請するか決定します。
※検索はこちらで簡単に行えます。

こちらから遺言書の保管の申請の様式をダウンロードし利用しましょう。

添付書類は、本籍及び筆頭者の記載入りで、マイナンバーや住民票コードの記載のない住民票になります。3ヶ月以内に発行されたものになるので注意が必要です。遺言書を外国語で作成された方は、日本語による翻訳文も持参してください。

遺言書で行う手続きは全て予約制になります。予約は本人が行います。また当日の予約はできません。予約したい日の前々業務日まで予約が可能です。
例えば、月曜日に予約したければ木曜日の午前中までに予約しましょう。
また、ご夫婦ひとりずつ利用したい時は、1人ずつの予約を本人がとる必要があります。

あとは予約した日に本人が管轄の遺言保管所に行き、本人証明をして(運転免許証等を忘れずに)、必要書類を提出すれば、その場で遺言書の形式をチェックし、スキャンして画像データの保存をしてくれます。

そして、要件が整っていればその日に保管申請が完了し、保管証をもらうことができます。

●手数料

1通3900円の手数料が必要です。収入印紙を手数料納付用紙に貼って提出しましょう。
収入用紙は、遺言書保管所内の収入印紙窓口でも購入できます。

●遺言書の具体的な様式

次に遺言書保管制度を利用するための遺言書の様式を見ていきましょう。

図のように上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mmの余白を確保します。

また遺言の記載は片面のみにしかできません。

各ページにページ番号を記載しましょう。※1ページだけでも必要です。

あとはおおむね自筆証書遺言の方式を守って記載すれば大丈夫です。

ちなみに複数ページになっても綴じ合わせずに持っていきましょう。封筒も不要です。

財産目録は自筆でなくても構いませんが、登記事項証明書や通帳・カードの写しを貼付する際は、やはりA4用紙を使い、上記の余白指定も守ってください。

●保管申請以外でできること

遺言者には保管申請した後にも次のことができます。

・保管した遺言書の閲覧の請求

・保管申請の撤回

・変更の届出

どれも本人のみが手続きすることができ、予約が必要です。

変更の届出は、申請用紙に記載した住所等の情報に変更があった際に行う必要があります。

申請の際、希望する方については、遺言者の死亡後にあらかじめ指定した1名に死亡後の通知を送る手配ができます。指定した方の住所に変更があった際は変更の手続きをしておかないと遺言書の存在が確実に伝わらない恐れも出てくるので気をつけてください。

保管申請の撤回をした場合は、保管していた遺言書が変換され、保存されているデータも消去されます。

●まとめ

・管轄の遺言書保管所を確認し、申請書と添付書類を準備したら、必ず予約をして申請に出かける

・手数料は3900円分の収入印紙を所定の用紙に貼付して支払う

・遺言書はA4サイズに書き、四隅それぞれに余白の指定があるなど様式が決められているので注意する。

・閲覧や撤回、変更の手続きをすることができる

次回は、相続人の方は、遺言書保管制度を使ってどのようなことができるのかについて見ていこうと思います。