遺言書には大きく分けて3種類あります。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

です。今回は自筆証書遺言について説明していきます。

●自筆証書遺言

その名の通り自筆する遺言書になります。

逆に言うと、遺言の内容をワープロ等で作成しても無効になるということになります。

ただし2018年7月6日に成立した改正相続法によって自筆証書遺言の方式が緩和され、遺言書に添付する財産目録については自筆以外での方法で作成が認められました。

ということで、作成は方法は以下の通りになります。

・「全文」・「日付」・「氏名」を自筆する

・署名捺印をする

・財産目録を添付する場合はワープロで作成してもよい。
毎葉に署名捺印を忘れないこと

●メリット

メリットとしては、

・比較的お手軽に作成できること

・他の2つの方法と比べて費用を抑えられること

です。

遺言書はどのような紙に書いても構いません。極端に言うとレシートの裏に書いても方式を満たしていれば大丈夫ということですね。

●デメリット

デメリットとしては、

・自筆する必要がある(本人の負担が生じる)

・紛失・変造・隠匿・破棄の恐れがある

・検認の手続きが必要

・信憑性が公正証書遺言と比べて低い

です。

自筆証書遺言を作成した後の保管は自己責任になります。お亡くなりになるまでの間に紛失してしまったり、お亡くなりになった後に誰にも見つからぬまま放置されたりといった恐れがあります。

また、検認という手続きが必要になります(”検認”について詳しくはこちら)。簡単にいうと手間と時間がかかり、相続人に負担がかかることになります。ただし遺言書保管制度も新設されましたので、そちらのご利用も検討していただくと良いと思います。

さらに、遺言者が自分一人で作成することになるので、本人の意思で作成したことを証明するのが困難であるというところも難点です。

●隙のない遺言書を作る

”遺言とは”の記事で説明した通り、遺言書には厳格な方式があり、相続には至る所にトラブルの火種が潜んでおります。相続人の中で、「これは本当に本人が自分の意思で書いたものなのだろうか」と疑問を持たれてしまう可能性をできる限り少なくする工夫が必要になります。

とはいえ、自筆証書遺言にはとりあえず遺言書を残してみるというお手軽さがあります。遺言書に親しんでみたい方やご高齢の方など万一の急な事態が想定される方にあっては、取り急ぎ作成しておくということもありだと思います。

ただし、遺言は残すだけでなく、それを速やかに確実に実現するということも大切ですので、必要に応じて専門家のチェックを受けることをおすすめします。