ACPという言葉が少しずつ普及してきています。大学病院等でも厚生労働省のリーフレットが置いてあったりして、みなさん関心があるのか、すぐになくなってしまう程なのだそうですよ。
ACPとは”Advance Care Plannning”の頭文字をとった言葉です。
すごく簡単に言うと、元気なうちから自分の心身に何かあった時のことを考えて、それについて大切な人たちと話し合いをしておきましょうということです。
別名:「人生会議」なんて呼ばれたりもします。少し前に芸人の小藪一豊さんのポスターで物議を醸しましたね。確かに誤解を与えかねない表現だったかもしれません。
ポスターを見ると身構えてしまうように、「何かあった時」を想像するなんて縁起でもない、と敬遠してしまう人もいるとは思います。
それでも、長年医療・介護・障害福祉の分野で在宅療養に携わってきた立場からすると、とても切実な問題のように思えます。
認知症が進み判断能力が低下してしまってから、あるいは、重病にかかり体力が弱ってからどこでどのように暮らしたいのかを考え周りの人たちと意思の共有を図るのはとても大変なことです。
本人は本当はどのような生活を望んでいるのかわからない、本当は望む生活スタイルがあるのに家族や関係者に気兼ねして萎縮してしまうという場面に何度も遭遇してきました。
まずは、気が向いた時に自分がそのような立場になったことをちょっとずつ考えてみる。
あるいは自分の家族がそのような立場になった時のことを考えてみることから始めてみるのも良いかもしれませんよね。
そうやって考えているうちに様々な疑問が湧いてくるかもしれません。
・最期まで自宅で過ごしたいけれどどのような手段を用いれば実現できるか。
・胃ろうや人工呼吸器など過度な延命治療はしてほしくないけれど周りの人はちゃんと理解してくれるだろうか。
・周りに頼れる身内がいないのだけれど自分がいなくなった後のことは誰に任せればいいのだろうか
などなどです。一人で考えたり調べたりしても分からない時は是非在宅医療や介護に詳しい行政書士に相談してみてください。
私が行政書士という資格を取ろうと思ったきっかけの一つは、医療ソーシャルワーカーとして在宅医療や介護の現場でそのような悩みを多く聞く中で、より総合的にアドバイスやサポートがしたいと考えたことでした。
これまで悔やまれるケースをたくさん見てきた経験と行政書士の立場から申し上げますと、ライフプランとして自分の想いを形に残しておくこと、そしてその想いをしっかり実現してもらうために、任意後見契約書や遺言書、死後事務委任契約書、ご希望の方は尊厳死宣言を公正証書で作成することで法的お墨付きをもらうことをお勧めします。
どのような文書を作成しておけば良いのかはお一人お一人違ってきますので、まずは一人で悩まずお気軽に相談してみるのも良いと思います。